YAMAHA FZ250レストア記 #04 眠り姫の胃袋を……あ、やべっ!編 錆穴だらけのガソリンタンク再生2

色々と滅入ります。

足に使っていたSUZUKIのグラトラ君。
年式の割には綺麗ってのだけがウリだったんですが……

玄関先にカバーをかけて停めて置いたら、朝からの猛烈な強風にあおられて寝てました……。
しかも、思いっきり花壇の立ち上がりにタンクを乗っけて……。

もうね、自然の事なんで仕方ないっちゃ仕方ないんだけどね。
うーん、結局置く場所が少ない(というかモノが多い)ってのが問題なんだよなぁ。
もうグラトラ一時抹消しようかなぁ……。

というネガティブから本日のレストア記、はじまります。

で、まずはタンクの続きですが、

「私、失敗しました!」

もうね、今回はネガ回なんで、一応最初に宣言しておきますね。(←ヤケクソ)

さて、タンクです。

左下にガソリンコックが見えます。このコックを外すため固着したネジを緩める作業にかなり四苦八苦しましたが、結果からするとなんとか外せました。
まぁそれは良しとします。
問題は今回も綺麗なタンク・プラネタリウムが煌めいているという事です。
しかも、形状がラビットなんかよりかなり複雑です。
(上写真を参照の事。参照うおっ! ってくらいオオサンショウ・ウオッ! です)
おまけにすんげぇタンク薄くなってるし……。

まぁね、どっちにしろこのままじゃまだ何もできないので錆を除去します。

8年ぶりくらい? に倉庫の奥から出した自作直圧式サンドブラストマシンです。
ちなみにキャビネットを作るスペースはないので、露地吹きです。真ん中のオレンジの耐圧ホースが朽ちていたので交換したりちょっとだけメンテナンスをしましたが、概ね問題なく使えそうです。
そうそう、この直圧式ブラストでジブンが使っているメディアは『砂』です。なのでまさにサンド・ブラストです。(笑)
回収がきちんとできるならアルミナなんかでもいいんでしょうけど、どうしても細かい粒子が風で飛んだりするとご近所にも迷惑かな? と。砂ならまぁ、自然のモノなので多少はいいかなぁ? なんて感じですね。
ホームセンターで粒度の違う砂を買ってきてもいいし、自分で集めてもいいですね。自分で集めた砂はいちおう塩抜きして、ふるいにかけて使っています。なので今の所メディア代は『タダ』です。(笑)

これが燃料キャップを取り外したタンクの上部です。錆の程度は下部もだいたい同じですね。ここに前出のブラストマシンでサンドブラストを施します。

こんな感じになります。結構フツーにブラストされてるでしょ? 右に見えるのがノズルなんですが、これはセラミックの極細ノズルです。これが直圧式のキモでもあるのですが、この極細ノズルのお蔭で1~2Kg/m2の吐出圧で十分使用できます。
今回は1.5kg以下で吹いていたので(あまり圧が高いと砂が舞いあがって見づらい)家庭用のコンプレッサーも動いたり止まったりを繰り返すくらいの使用頻度でした。
まぁ、ジブンの作ったこのブラストマシンも過去にネットを見て作ったものなので、興味のある方はちょっとググるとわかると思いますので、マシンについてはこの辺で終わりにしますね。

ほい、こちらがタンク内側下部のブラスト後です。思ったより綺麗になってます。下部に見える黒い点はタール状から固化した物質の残りで比較的安定していると思われるのでこの位なら大丈夫かなと思っています。
それにしても……薄くなりました。
『ブラスト=表面研磨』なので仕方ないのは承知の上なんですが、随所に薄くなった鉄板の隙間からのプラネタリウムが見えますね。
うーん、まぁでも仕方ありません。なんとかしましょう。

次の段階としては内部のコーティングになるのですが、その前にそのあとの縫合手術に向けた下準備をしておきます。

最終的に胃(タンク)の上下部はくっつけなくてはいけません。方法は幾つかありますが、前回のラビットでやったハンダ付けでいこうと思います。まずは双方のハンダ代となる部分の塗装を剥いで捨てハンダを打ちます。

タンク上部に0.3mmの真鍮版でリブをハンダ付けしました。後にタンクシール材で処理するときには、リブやタンク側ハンダ代にシール材が着かないようにあらかじめマスキングを施すことを忘れずに。

ざっと載せてみた感じです。こんなイメージですが、実際にはこのままだと隙間が多くてハンダ付けができないので、リブにハサミを入れて形状に合わせつつハンダ付けとなります。

次にタンク内コーティングの際にコート液(POT15タンクシーラー)が滲み出たり余計なネジ穴に入らないようにマスキングを行います。特にこのタンクには上部にごく小さな空気抜きの穴が開いているので、それをつぶさないようにマスキングの計画を行う必要があります。

また、タンクの穴あき部分にも外側からマスキングを行います。穴あき部分に内側からJBウェルドなどの耐油性パテを塗り、その上からPOR15を施工することにより穴をふさぎます。

さて、いよいよコーティングです。
コーティングには耐ガソリン性のFRP樹脂やエポキシ樹脂でもいいのですが、今回は(も)個人的に実績と信頼のあるPOR15タンクシーラーを使用しました。

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まずはPOR15をよく撹拌します。そしてタンク上部をハケ塗します。POR15はラッカーシンナー(トルエン含有)で洗浄できますが、ジブンは100均の絵筆セットを買って使い捨てにしています。

次にタンク内部にもPOR15を筆塗します。開口部を大きくカッティングしてあるので、内部に手を突っ込んで塗るのも比較的楽です。

!ちなみに、この時点で既にミスってます!
わかるかな?

答えはのちほど

そしてラビット回と違うのはココ。今回は穴も大きくタンクがかなり薄くなっているのでついでに補強もします。用意したのはガラスクロスの200番です。予め適当な大きさに切っておくと便利です。

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最初にPOR15を筆塗したのは、このガラスクロスをくっつきやすくするためです。ちなみに、FRP積層には主にガラスマットという材を使います。皆さんがよく目にする熨斗タラみたいな(笑)繊維状のマットですね。あちらの方が強度を出すことが可能なんですが、形状に馴染ませるためには予め良く揉み混んで、ローラーで形状に馴染むようにゴリゴリしごかないといけません。おまけに、FRPで使用する二液性の樹脂なら硬化時間が短いので形状安定までの時間が短くて済みますが、このPOR15は硬化時間が結構長いので硬化まで材に意図した形状を保持してもらう必要があります。
そういう時にはこのガラスクロスを使うと便利です。
見た通り、織ってある布のような感じなので、形状への追従性は高いです。今回の施工にも使用したのは前述の絵筆1本だけです。予めPOR15を下塗りした場所にガラスクロスを置きます。後はPOR15を浸した筆を使ってクロスに樹脂を浸含させるだけです。コツとしては筆を使ってクロスをポンポンと押して形状に馴染ませながらもPOR樹脂を含ませることです。
一枚のクロスにいくつものねじれを加えると剥離しやすいので、複雑な場所は小さめのクロスを何枚か重ねます。
もちろん、FRPだけでタンクを作る場合は強度が必要ですのでこれでは無理だと思いますが、今回はあくまで補強ですのでこの方法でも大丈夫だと思っていますが、実際には長期で使用しないと何とも分からない実験途中であるという程度に考えていただけると助かります。

さて、ちょっと長くなりましたが……ここで失敗の反省です。

じつは、一連のタンクの補修には天気の良い日やほかの作業との兼ね合いなどで数日を要しています。けっして切開からPOR処理まで一日でってわけではありません。実際に最初の切開からPOR処理までの間に、ちょっと私用の懸案事項がいくつか発生し、その事でちょっと頭が混乱していたという事(言い訳だけどね)もあります。(書いてる今は解決済)

ガラスマットをPOR15で貼り付け、乾燥に移ったその時に気づきました。

「あ、JBウェルドで穴ふさぐの忘れてた!」

そうなんです、何を思ったか自分でもわからないんですが、工程を一つ思いっきりすっ飛ばしてしまってたんです。(爆)

仕方ないので一晩おいて表面が乾燥したことを確認してから光の透けてるところにJBウェルドを塗り込んでみました。(上の写真の部分的に灰色の濃い部分がそうです)

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まぁ工程を飛ばした分は後で対応するとして、最終段階に向かいます。写真はタンク上部のエア抜き穴の養生をしたところです。いらないコードの先端にPORを弾きやすいマスキングテープを巻いたものを取付け栓にしました。コードはコック取付穴から排出しシールしてあるので、後でこのコードを引くと栓が取れる寸法です。

胃の上部と食道部の縫合です。(笑)
この時点でなるべく液体が漏れないようにハンダ付けをします。今の所見た目はよくありませんが、これはインナータンクなので見た目より機能と性能です。見た目に関しては機能が伴っていれば後から修正も可能です。(多少は)

今回使用したPOR15は8オンスタイプです。約230mlくらいかな? この大きさのタンクでは浸含に使用しても十分残りますので、しっかりと蓋をして+なるべく酸素が入らないようにして保存しておいたPOR15を今度は給油口から全部入れ、全体に万遍なく回します。特に上部のハンダ付け部分には良く回しこみます。
今回もこのハンダ付け部分から一か所だけリークしました。ですが、それでいいんです。このPOR15はリークによってそのリーク箇所を埋めてくれます。(ただし、大きな穴ではなくピンホール程度です)
全体にPOR15の樹脂を回したら、気になる部分に樹脂が溜まるような感じで安置し、硬化を待ちます。

そうそう、ちなみにこの時点ではほかのタンクの穴からはリークはありませんでした。という事は、後塗のJBウェルドが効いたのか? それとも浸含作戦が効いたのか? まぁでも実際には完全乾燥後にもう一度検証する必要はあるでしょうね。

という感じで、タンクについては一旦完了とします。
いかがでしたでしょうか?
まぁね、オークションなんかで安いタンクがあればそれを使用した方が早くて安いのはわかっているんですが、この車両のように古くてしかも絶版だと出品されているタンク自体のクオリティがそのままポン付け不可って事が多いです。「どうせひと手間かけなきゃならないなら、手元のモノ使っても一緒だわな」なんて考えが頭を過ったら、貴方も見事にコチラ側ですよ。(笑)
どうせ新品にならない、どうせ元々使えないものなら、壊したって何も変わらないのです。ですが、『やったこと』『試したこと』は確実に貴方の経験や技術となって残ります。(少なくともそれをネタに次のネタ(修復)を考えながら美味しく酒が飲めますw)
勿論今回の失敗は悔しいですが、『人生、リカバリしてナンボ』ですし、なにより

『楽しくて、学べて、(ちょっとの時間とお金以外)無くすモノが無いなら、やったほうが面白いじゃん!』

これがAMi-WORKSのモットーですからね。(笑)
みなさんも、もっと自由に遊びましょう!

さて、今回はこんなところで。
あ、もちろんこの後修正個所が出てきた場合は、都度報告しますね。

では、次の雨の日まで、アデュー!

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カテゴリー: FZ250 PHAZER, バイク・モーターサイクル パーマリンク

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