Utsunomia式ガイガーカウンタ製作Tip’s

表題のガイガーカウンタをいくつか作ってきましたが、その際に高電圧のリークによる動作不良に悩まされる場面に何回か遭遇しました。
但し、これは設計が悪い訳ではなく、普段電子工作をやっている人間なら『当然』と言われるようなセオリーの部分を初心者故に見逃して(或いは端折って)しまい、結果として不動(リーク)のスパイラルに陥ってしまうというものであると思われます。
今回は、この初心者故に見逃す、或いは甘く見ている部分をおさらいして、『初心者でもリークに悩まされずに済む』と思われる造り方を、Tip’sとして公開したいと思います。

尚、使用する回路図は部品入手の容易さとコストパフォーマンスから、Utsunomia.comの『放射線計を作ろう vol.1』内の『GMT Probe (for SbM20)再現性重視版 Type-A』を使用しています。
※本文章内では上記図面に則った説明も行いますので、一緒にご覧ください。

また、ここでは私がユニバーサル基板にて独自にデザインした部品配置で(とは言っても先生の図面のままですが)行った場合のリーク対策となりますので、閲覧者の製作環境によってはこの通り動かない場合もあります。また、この後の作業により生じた不具合や不利益に対し、私及び設計者のDr.Utsunomia氏共に一切の責任を免責されるものとします。

それでは、Tip’sにGO!

TIP’S 1. 安い○国製ユニバーサル基板はやめとけ!

はい、いきなりです。
通常の電子工作ではあまり気になりませんが、今回作るモノは高電圧を利用する回路となります。日本製ガラスエポキシ基板と○国製基板ではいくらか値段の開きがありますが、貴方が量産して儲けようと思うのでなければ(手間を考えると結局同じなんですけどね)迷わずちょっと高くとも国産ガラスエポキシ基板を使ってください。私は両方で作ってみましたが、○国製基板対し国産ガラスエポキシ基板では「なんと!」というほどリーク耐性に差があります。また、この時点で選択を誤らなければ、リークなどに悩まされずに済む確率が格段に高くなると思います。(経験談)

それでもあえて○国製基板を使う(或いは使わざるを得ない)と言う場合は、下記の対処を行いましょう。

ではまず、基板を用意します。ジブンの場合は……

以前、複数GM管ガイガーカウンタを作った際使用した基板を流用することとしました。この基板は途中まで造りかけた時点で宇都宮先生のご助言により回路を複数分ける必要がないとわかり、結局一部のみを使用して残ったものです。よって、モバイルガイガーなど、今まで私が作ったUtsunomia式ガイガーカウンタと1本づつは同じ回路となります。(この複数管式についても折を見て掲載の予定です)

流用に際し、この三本を切り離したのですが、間隔をタイトにしていたためパーツ間に上手くカッターの直線の刃が入りません。仕方なくパーツを避けるようにジグソーで切り離したところ、このような形になってしまったという訳です。
まぁ、見た目は良くありませんが、機能的には問題ないと思われますのでこの基板を使ってリーク対策のTip’sを勧めます。

Tip’s 2. トランス二次側のリークを阻止せよ!

はい、もうこれでオシマイです。というくらい、当然で簡単な事なんです。
でもそこがなかなか上手くいかなかったりします。

さて、では実際にトランスの何処に気を付ければいいのか?
まず図面を見ていただきますとトランスは一次側(1,3と表記)と二次側(6,4,2と表記に)分かれています。

このうち、一次側から左の部分に関しては、正直な所あまり拘らなくても大丈夫だと思われます。せいぜい『タイマーICである555を直付けしないでソケット使った方が無難』とか、『2SB976に余計な熱を加えない』といったところでしょうか。あ、但し、先生のサイトには『2SB976とトランスはなるべく最短に』という記述もありますから、注意事項はこの三点くらいだと思います。

さて、では問題の二次側です。
図面をよく見ると6の出力とその先にあるファストリカバリダイオードの線が太く書かれています。この部分こそが最大の肝となります。私が色々試した中で、この部分が基板に接触するだけでリークを起こすという現象を何度も体験しました。そしてその予防策にシリコングリスを塗布したり、エポキシで固めたりしてみましたがどれも効果は薄く、一番の対応策は『二次側6番の出力以降を中空に浮かせる』という事でした。

では、どのようにしたか?実際見てみましょう。

まずはトランスの設置ですが、このトランスは足のピッチが通常の基板と若干違います。また、無理に足を広げようとすると(或いは逆も)いとも簡単に足が折れて(おまけにかなりの確率で出力線もプチッと切れて)しまいます。それを阻止するために、予め手動のバイス(ドリル)などで1,3,4,6番の足の入る部分の穴を広げます。
2,5番の足穴を広げないのは、この足を使ってトランスを仮止めするためです。2,5番の足は使用されていないので万が一折れても大丈夫なんです。但し、折れる際に両脇の足を道連れにしかねないので、それが不安な場合はこの足の部分も穴を広げるといいでしょう。

トランスを乗せてみました。
シャープペンで指している部分が問題の2次側出力6番です。

この基板では黒く塗った辺りに6番の足が来ますので、この足が他所と接触しないよう基板の穴を広げます。

こういった基板やシャシーなどのちょっとした穴あけには、写真のようなピンバイスが便利です。もちろん、穴が開けばいいので何を使っても構いません。

こんな感じになったら各穴を繋ぎます

穴をヤスリで軽く整形しました

トランスを乗せて裏から見てみるとこんな感じになります。裏から見ると右下になる6番足の周囲がぽっかり穴空き(アナーキーっぽいな)になっているのがわかりますか?
そうそう、この写真では一次側の足がズレていますが、これは本来トランスを置こうと思った位置よりセットバックさせたためこうなっただけであり、他意はありません。皆さんはストレートにトランスに繋がるように配線してください。

問題なければトランスを仮止めしますが、この時の注意点は、『トランスは基板から浮かせた方が良い』という事です。浮かせる量はオマカセですが、この後トランスの足と基板上の各部品をハンダ付けできる程度となると、足の長さからだいたい1~2mmくらいでしょうか。

さて、2,5番ピンを調整し、トランスを浮かせた状態でだいたいの位置が決まったら、2,5番ピンに瞬間接着剤をほんの少し垂らすと、トランスが中空で固定されてこの後の作業がやりやすくなります。もちろん、トランスの下に紙などを挟んでトランス自体をテープなどで固定しても構いません。

こんな感じで位置が決まったら、一次側の足はハンダ付けしてしまいましょう。その方がトランスが安定して作業がやりやすいです。

次に6番に付くダイオード取付の準備をします。
経験上、このファストリカバリダイオードのカソード側につながる抵抗までを中空配線できると、ほぼリークはおこりません

どうやってつけたらいいか、ダイオードの足をクネクネと……こういうのって、知恵の輪みたいで好きです。(笑)

試行錯誤の結果、このような足の形に相成りました。この足の形が何を意味するのかは、この後わかります。

まずはダイオード本体を瞬間接着剤などで基板に固定します。この時、アノード側の足が基板などに触れないようにするのが肝です。あ、もちろんその後トランスの6番とハンダ付けしますので、6番足とダイオードのアノードは接触してOKです。というか、むしろ接触するようにしてください。

6番足とアノード線をハンダ付けしました。中空配線されているのがわかりますか?
ちなみに、前述のように試しにこの部分を固定するためシリコングリスや絶縁用シリコンやエポキシで固めてみたのですが、残念ながら何れもリークをおこしてしまいました。つまり、若干不安定に見えますが、リーク対策を最大課題とするならば、中空配線のままが一番のようです。

と、ココまでくればあとは出来たも同然です。
ジブンは念のためトランスの4番足から出る470pfのコンデンサとその先の20MΩ(10MΩx2)までを中空配線にしています。

こんな感じですね。

尚且つ、この後露出部分を熱収縮チューブでカバーします。

はい、こんな感じです。いきなり出来ちゃってますが。(笑)

最初に作ったモバイルカウンター(上)と比べると実装部分が縦横共に小さくなっています。基板の余っている部分は必要なければ切り取ればいいので問題ないと思います。これで基板部分はOKだと思いますが、じつはまだ注意点があります。

Tip’s 3. GM管アノード側を隔離せよ!

はい、ここから先は写真がないのですが、体験談をお話しします。
上記のモバイルカウンターを最初に作った時の事です。リークに悩みながらもなんとか切り抜け、フレームに基板とGM管を取り付けました。そしてテスト……OK!
ですが、翌日テストすると、なんとリークします。
「なんでやー!?」
じつはこの時、フレームには加工性がよくてしかもその辺に転がっていたという理由で5mmの単版木板を使っていたのです。どうも、この木板の水分が、部屋の湿度に左右されてGM管のアノードとカソードがショート状態になっている(リーク)と判断できました。
そこで、加工性が良くしかも絶縁性の高い塩ビ板に変更すると、このリークがピタリと止まった訳です……が……(笑)
やはりその辺に転がっていた塩ビ板ですので見た目がちょっとキチャナかったんです。
色気を出して筆塗りですが塗装しました。
すると……リークしました。(涙)
どうやら塗料が乾いても、塗料に含まれる金属成分(orカーボン?)が導体となり再び絶縁を妨げてしまったようです。
確かに静電気のような性質の電流を扱っている訳で、当然と言えば当然なのですが、この当然になかなか気が付かないもので、それが失敗の原因になっているのでは?と思った次第です。

さて、ではどのようにするのが一番いいのか?という事ですが、可能であればGM管と基盤は別体とし、回路と同一基板上にGM管のアノード(+)側クリップなどは取り付けないほうがいいようです。(カソード側は何処にあってもあまり影響ないようです)
また、GM管を別ボードに取り付ける際も、アノード側クリップを取り付けるボードは、なるべく絶縁性の高いものを使うと良いでしょう。
(別体にしたガラスエポキシ基板や塩ビ版、プラ板なども大丈夫かもしれません)
但し、基板の回路部分とアノードクリップが数cm単位で離れていると影響は少ないようですので、はじめに動作確認する場合は、いきなり小さく作らず、まずは余裕を持って部品配置するという事も、リーク対策としての有効な手段だとも思われます。

また、一番いいのは中空配線のままGM管のアノードにつなぐ方法です。
この場合GM管の固定方法が肝となるでしょうが、それをクリアできれば一番確実かもしれません。

以上が、自分が経験した上でのリーク対処法です。

ですが、本当はもっと簡単に対処する方法があるのです。
それは、基本中の基本、Tip’sとしてはそうですね……0番となるでしょうか。

Tip’s 00. 何は無くとも、まずアース!!

はい、これは宇都宮先生の教え子なら、最初の最初に教えられる言葉です。
ジブンもあれから20ン年経ちますが、電気関係の回路を弄る時には呪文のように頭に浮かびます。
実際の図面にも、シグナルグラウンドではなくフレームグラウンドとしてのアース指示があります。
色々試しても駄目な場合は、回路のマイナス側をケースにアース、或いは人が触れるようにアースしてみてください。(本当はこれが最初なんだけど、最後の逃げ場として確実なので……)
もし、それでも駄目な場合は、今一度回路や部品を点検してみることをお勧めします。
そして、もしその原因がわかったら、このように公開していただけると助かります!!

 

さて、これで本当にTip’sはオシマイです。
「当たり前すぎてフイタ」とか「こんなの書くヤツはシロート、ゴミ、逝ってよし」とか「イモハンダキモイ」とか、まぁ色々あるでしょうけど、そんな事は気にせず(苦笑)本当に単純な理由でリークが発生している事が多いので、皆さん諦めず、心を大きく持って(笑)たまにはゆっくり風呂に浸かり、たまには酒を飲んで発散して(毎日ですが)是非とも自作ガイガーカウンタを完成させてください。

あ、そうそう、ついでなので付け足し。
ここで使っているUtsunomia式ガイガーカウンタの消費電力についての途中経過です。

以前紹介した通り、ジブンは現在2機のUtsunomia式ガイガーカウンタを常時LEDを点滅させ、スピーカーからブツブツ音を発した状態で24時間電源を入れっぱなしにして稼働させています。このうち1機はモバイル型で電源にLR44という1.5vのボタン電池を2個(3v)使っていますが、だいたい一か月持つという報告を以前行いました。
このボタン電池を使ったモバイルの方は、だいたいこの位のスパンでの交換で安定しているようですが、もう1機アルカリ単四電池を3本(約4.5v、設計上はオーバードーズっぽいかも?)使った卓上型(ダイソーのペンケースに入れてある)は2011年7/19日に使用を開始してこの記事を追記している現在(2011年10月16日)でも出力ベースで4v……「え?」と思わず疑ったほどの超低消費電力(=エコ)振りを発揮しています。

あの、ちなみに言っておきますが、じつはこの電池、2本が新品だったんですが、1本はそのへんに転がってた(またかよ!)新品但し賞味期限切れ(笑)の『写るんです』の中に入っていたもので、まさかこんなに持つと思わなかったので(よく時計などに入っている動作チェック用と言う感じ)計測もせずに使い始めたのですが……これはひょっとすると半年稼動どころじゃないかもしれませんね。

このあたり、私が今持っているキットのガイガーカウンタは006P型電池(9v)を使用して連続稼働で約24時間稼働が限界なのですが、他のガイガーカウンタはどうなんでしょう?
『ウチのはこの位持つよ!』とか『○○は電池バカ食い!』なんて情報があったら、是非ともお知らせいただけると助かります。

うーん、これは電池の消費が先か、ジブンの生活基盤崩壊が先か、なかなかブログとしては目が離せない状態になってきましたね!(我ながら、嫌なネタだな……)

今後ともこの超低消費電力Utsunomia式ガイガーカウンタについては、継続報告していきますので、興味のある方は是非ともチェック!&↓をポチッと!!お願いいたしマッスル!!

それでは、レッツ・ガイガー!!

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Utsunomia式ガイガーカウンタ製作Tip’s への2件のフィードバック

  1. hiro のコメント:

    お世話になっています。本日無事届きました。自作のものと全く異なっており、奥が深いんだなあ… と首をかしげるぐらい完成されていました。
    これから時間をかけながら、組み立てていきたいと思います。ありがとうございました。

    • AMi のコメント:

      ■ hiroさん

      無事届いたようでなによりです。
      &LED入れ忘れて申し訳ありませんでした。
      本日郵送いたしましたので暫くお待ちくださいませ。
      &萩の月がメチャ旨くて感動モノです!
      こちらこそ、色々ありがとうございました!!

      さて、お送りした基板ですが、とりあえずそのままチェックしてみてください。
      基板上でリーク対策をしていますので、GM管につなぐコードの被覆を長めに剥いて、SbM20の先にクイクイと巻くだけで大丈夫です。

      あとはスピーカーを各端子につないで、(もし手持ちがあれば)LEDをつないで、乾電池類なら2本(1.5v x2)エネループなどなら3本(1.2v x3)を+-の端子に接続すれば稼働します。

      ちなみに、スピーカーとLEDは同時に繋いでも片方づつでも大丈夫です。
      また、スピーカ、LED共付けなくても壊れません。
      ですが、その場合は稼働しているのか判定できませんが。(笑)

      基板はお好きな大きさにザックザック切っちゃって大丈夫です。
      結構手荒に扱っても大丈夫なハズですので、万が一動かなかった場合は連絡くださいませ。

      えっと、ちなみにお送りした基板も手作りです。
      しかも思いっきり。(^^;;

      ではでは、レッツ・ガイガー!

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