眠り姫は30余年の眠りから目覚めるか? YAMAHA FZ250 PHAZER レストア記 その1 30年不動バイクの再生 検証編1

高校生の頃、第二次バイクブームなんてのがあった。
丁度80年代、世はまさにレーサーレプリカを筆頭としたオートバイに湧き、国内4メーカーは世界の舞台で輝いていた。
だがおりしも、当時『三ナイ運動』なるものが全国に波及し、中学校や高校では『バイクは劣等生の象徴』の代名詞のように扱われもしていた。
それでも、当時の高校生は男も女も16に成ったら免許を取ってバイクに乗りたいと思っていた者が圧倒的に多かった。
でも、学校ではダメという。
どうするか?

みんな、内緒で免許を取りに行った。(笑)

まぁ、おいらの周りでは主に原付だったけどね。
短時間で取得できるから、試験場に来る見張りの先生にも見つかりにくいし。
あ、一応言っておくけど、おいら、所謂不良では無かった(とは思ってる)のですよ。
うん、まぁ、酒もタバコもバイクもやったけど、当時はまぁソンなもんだった。
だから、割と周囲にも免許を持っている仲間は居たんだよね。
最初のバイクは親戚からもらったKawasaki の真っ赤な AR50だったよ。(笑)

さて、大きなバイクに乗りたいと思った時に、おいらが乗りたいと思ったバイクは3台あった。1番はKawasaki の GPZ400Rだった。あのデザインに痺れたね。いまでも好きだよ。で、2番と3番は同率なんだけど、なんとSUZUKI の SAVAGE400 と YAMAHA のFZ250 PHAZER だった。
ここで「なんでSAVAGE?」と思ったアナタの感覚は、極めて正常です。(笑)
この3台の中でSAVAGEだけアメリカンなんだよね。
でも、当時のバイクってみんな其々個性が強くて、その中でビビッとクるものがあったのがこの3台だったんだ。
GPZは基本的に鉄板であのデザインとボリューム感に惚れた。SAVAGEはあのスッカスカのフレームに一本ドーンと直立しているシリンダーに惚れた。そしてPHAZERはGPZとは逆にスリムな車体、そしてあのキュイーンという音(通称ジェットサウンド)に惚れたのだ。
まぁ結局乗ったのは、初志貫徹してGPZだったけど、やっぱりあの頃の記憶とか印象って忘れないもんでね、いつかは乗りたいなぁってね……。

で、じつは数年前に買ったんですよ。(爆)
10年くらい前だったかなぁ?
ボロイのを買ってレストアして……でも丁度完成した頃資金繰りが苦しくなって売っちゃったんだよね。(まぁ仕方ないですね、背に腹は代えられない)

それから何年か、なんとなく見るとなしにオークションとか見ていたんだけど、つい先日惹かれる車体があったんで『このままの値段じゃ落札しないだろ』と思って入札したら

おめでとうございます、あなたが落札しました!

って、YAHOOから連絡が来たという訳で……まぁ、これも縁ですかね?(笑)

さてこの車両、オークションで見たときからかなりキてる状態だった。具体的には説明文にもあったんだけど、超長期放置車両という事だ。おまけに鍵がない。
一応入札前にじっくり写真は見たんだけどね、その時点でタイヤなんかのゴム類はもちろんNG。フレームは錆だらけ、フォークも錆錆、当然ブレーキなんて固着してなけりゃラッキーすぎる位。エンジンやFフォークのアウターなどのアルミは、塗装も剥げ落ちて粉吹き芋状態(わかるよね?)だったんだけど、実際引き取りに行ったら……

その通りでした。(爆)
ちなみに、写真って凄く綺麗に見えるのよ。上の写真は引き取ってきたものを晴れ間を見て撮ったものだけど、いやぁ、酷いよ。

さぁ、では、眠り姫の寝姿をとくとご覧あれ!

固着していないのが不思議なフロント。キャリパ、フォークアウタ、ホイールのアルミが粉吹き芋! 当然ホースなんて怖くて使えません!

Fフォーク。稼働部も三つ又間もかさぶた状の錆がイッパイ! これは磨いても無理っぽいですねぇ。

粉吹きエンジンと錆(サブ)フレーム。もちろんメインフレームも錆満載! ちなみにこのFZ250はYAMAHA初の250CC4気筒エンジンで、この後のYAMAHA高性能エンジンの代名詞ともなる最初のGENESIS(創世記)思想エンジンなのです。具体的にはエンジンを前傾させる事による低重心化とキャブからエグゾーストに向かって重力に逆らわず最短で気流を流すダウンドラフト効果を狙っているという、当時としては革新的なマシンだったのですよ。(でも1年で製造中止でしたが)

ステップ。うーん、凄い。天然ブラスト!(笑) これを見てたら『カゴメクライシス』の『白骨恐竜』を思い出したよ。
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さて、CMも盛り込んだし、次は……

リア周り。タイヤの変形具合がいいねって、もう、あまりコメント無いですよ。使える単語が『錆』と『粉吹き芋』位なんだから……

いや、ホント、ショックだわー。(爆)

鍵は元々無いという事だったんで気にはしていなかった。ただ、恐らくハンドルロック解除のため(?)ツブされてました。 まぁロックかかったままだと積み込みも降しも厄介なので仕方ないけどね。

あーよかった、キャブが4つあるよ……。
って、そうじゃねぇだろ!(笑)
これが上から吸って下に流すダウンドラフトキャブですね。
エンジン側のインテークマニホールドにはヒビが入っています。これが割れてると二次エアを吸って吹けやアイドリングが安定しません。ちなみにインマニはおいらが以前同型をレストアした時点で廃番でした。恐らくもう色んな部品が廃番でしょうね。

と、ここまでネガの部分ばかりだったんで、少しくらいは良いところを……

無いわ

なんて、事はないのですよ。

一番最初の写真と両方見てほしいんだけど、この外装。なんと、汚れはあるけど大きな傷や欠けが無いんです。おまけにシートも結構綺麗なんですよ。(ちなみに似てるけどYSP仕様じゃないです。確かYSP仕様は後期型のみでラインが金でアンダーカウルが着いてます)

ちなみに……

左側のカウルステッカーなんですが、なんと上下逆!
張り替えた形跡は皆無。これってアリなんですかね?
どーなんですか、YAMAHAさん?
レア(エラー)品として高く売れないかな?(笑)

という事で、元に戻ります。
ノーマルサイレンサーもこの通り綺麗です。このサイレンサーを持つ初期型の1HXという機種のみが、あのジェットサウンドを奏でるんですよ。
サイレンサー、ハンドルバーエンド、左右ミラーにレバー、そしてステップのバンクセンサーなど、何処を見ても傷がない。という事は、立ちごけも無い? ちなみに先のステップ写真にビニール紐の残骸が見えてるんですけど、これが左右の何箇所かに残っているので、恐らくはカバーをかけていたのではないかと思えるのです。

そして極めつけが……

オドメータ(積算距離計)。ナント、520km!?
状態が悪いのを承知で思わず入札した理由の一つがコレ。まぁ、説明文にも「あくまでジャンク扱いですし、正確ではない可能性が高いけど、車両を見ると実走の可能性も高い」と言われていた通りでした。
うん、まぁね、メーターなんていくらでも戻せるし変えられるし、仮に実際この実走距離だとすると逆に「なんで走らなくなったんだ?」という疑問と「本当に30数年不動かよ? 逆にあちこちイッてねぇか?」という不安も湧いてくるんですけど、それでもまぁ恐らくこの走行距離のPHEZERって現存しないんじゃないかなぁ? なんて思うと、なんとなく面白くなってきたりしません?(しないか)

さて、上記までの外装の状態からは、確かにこの外装が交換されていないのならば実走の可能性が高いと伺えます。では他の部分はどうでしょうか?

もうね、いろいろな部分が錆びているんでなかなか検証が難しいんですけど、このドリブンスプロケット、どうなんでしょうね? 個人的には少し開いている気もするんですけど、でもエッジがきちんと残っているんですよね。

そしてもう一つ注目したのが前後のタイヤです。
もちろん、パンクしていてサイドウォールはヒビだらけなんですけど、トレッド面はいわゆるバリ山状態なんですよ。山的には殆ど減ってない状態なんですね。本当に実走なら新車からこの状態で時間が止まった可能性もあるかな? と。
ただ、タイヤなんて交換してしまえば分らないですからね。
でも、普通わざわざ古いタイヤには交換しないよね? というわけで、見ました。

フロントタイヤ BRIDGESTONE EXEDRA G527

リアタイヤ BRIDGESTONE EXEDRA G528

タイヤには必ず製造年と週が刻まれています。2000年より前のものですとアルファベットが製造工場などで、数字の最初の二文字がその年の初めからの週(x週目)を表し、最後の一文字が年(19Xx)を表します。という事は……

フロント:265= 19X5年+約5か月
リア:275=19X5年+約6か月

現在の表記だと4ケタになっているので例えば85年なのか95年なのかはわかるのですが、この時代のモノはそれが不明です。
YAMAHA FZ250 PHAZERの生産が1986年から1987年の1年間だけで、しかもこの1HXは前期型だから1985年製造のタイヤを履いている可能性は高いと思います。それなら新品時のまま=実走の可能性が高いと思いますが、この頃の表記だと1995年のモノに履き替えた可能性があるのでわかりません。

まぁこれは後々タイヤメーカに問い合わせる事で何らかの糸口が見えるかもしれませんが、95年製だとしても『新品のまま放置→95年製造のタイヤに履き替えて走行後放置』というパターンもあるのでなんともわかりません。

まぁね、実走だろうが何だろうが、何よりも問題はEgの中がどうなってるかですね。
現時点でピストンリングが固着している可能性が高いですし、何かのタイミングでオイルが完全に落ちた状態でクランクさせていたりすれば、シリンダやカム周りにダメージを受けている可能性も考えられます。(セルクランクだけではなく、ギアを入れて押し引きしている可能性もある)

また、本日撮影の合間にクーラントのリザーブタンクを見てみたところ、中には液体が確認できませんでした。ラジエータホースもつまめる感じです。
完全に抜け切っていればまだしも、水を入れていた等の理由で凍結があったりするとエンジンや補機類的にはかなりダメージ大です。
メカニカルシールの劣化やガスケットからの漏れでエンジン内部に水分が入っていれば、クランクシャフトが錆びているなんて事も十分考えられます。
このあたりは、少し時間に余裕をもって各部を検証し、ヘッド周りやシリンダにきちんと油が廻るような対策を講じてからエンジン始動に臨まなければいけないと思っています。

まずは
・イグニッションをはじめとする電気系の確認と簡易補修
・キャブレタの補修
・エンジン内部の確認と油脂類の充填及び簡易補修
と、とりあえずここまでできればガソリンタンクと燃料ポンプを気にしなくとも自然落下でエンジン始動ができるのではないか? と思っていますので、このあたりを一つの分水嶺として今後のこの個体の身の振りを見分けたいと思っています。

まぁ、但し、今現在雪は消えたものの外気は1℃とかなんで、様子を見ながらという事になりそうですので、気長にお付き合いいただければと。

/////

さぁところで、このタイトルの『FZ250 PHAZER』と『眠り姫』で何か心当たりのある方はいらっしゃいませんでしょうか?
いる? 40代? 50代?(笑)

じつは30年くらい昔の話なんですけど、ジブンがまだ学生の頃(だったと思う)このFZ250 PHAZER を題材にしたマンガがあったんですよ。
白赤のPHAZERのオーナーがバイクにキスすると、なんとPHAZERが女の子になってしまうというマンガでした。確かその頃は既にGPZに乗っていて「PHAZERだから華奢な女の子だけど、GPZだったらどーなるんだ!?」なんて思っていたのでとても印象に残っていたんですね。(笑) 確か女の子の名前が「ショーコ」だった記憶があります。色々調べたんですがなかなかWeb検索でもヒットしなくて「あれ、もしかして思い違いかなぁ?」なんて思ってたんですが、本日見つけました。

gooで15年くらい前にあった質問と回答で、回答者さんの記憶と調査で

1986年5月10日発売
ヤングジャンプ増刊、ザ青春号に掲載

第78回月例賞佳作作品
RideOn!
向井伸介

という作品だった事がわかりました。
2話完結で残念ながら単行本化はされていないようですが、まぁなんというか、ちょっとスッキリした感じです。

という事で、今回このPHAZERのレストアを『眠り姫プロジェクト』と命名いたしました。
はたして、

Sleeping Beautyは目覚めるか?

 

 

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眠り姫は30余年の眠りから目覚めるか? YAMAHA FZ250 PHAZER レストア記 その1 30年不動バイクの再生 検証編1 への2件のフィードバック

  1. ミスターボルドール のコメント:

    いや~楽しみですね~『眠り姫プロジェクト』
    ちなみにこの車両は、旧YACで販売された車両の様ですね

    • AMi のコメント:

      ■ ミスターボルドールさん、いらっしゃいませ~♪

      こちらでは、はじめまして&いつもお世話様です。(笑)

      >ちなみにこの車両は、旧YACで販売された車両の様ですね
      流石ですね、思った通りソコに目が行きましたか。
      お声掛けした甲斐がありました!(笑)
      このあと色々検証したんですが、旧YACの正規車両って事も間違いないですし、
      各部の状態からほぼ実走間違いなしという結論になりました。

      いやぁしかしこれから各工程を紹介する予定ですが、既に凄いです。
      ある意味ラビットより凄いものも見られました。(笑)
      基本的には屋外での作業なんですけど、一部家に持ち込んだら
      家の中が酸っぱい臭いで充満してます。(爆)

      まぁボチボチ更新しますので、今後ともよろしくお願いします。
      ※また遊びに行きますね~

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