YAMAHA FZ250レストア記 #05 眠り姫のおみ脚に口づけを……編 絶版フロントフォークの強制使用実験編01

前回の更新から一か月以上放置してしまいました。
季節は移ろい寂しかった田圃には水が張られ苗が植えられ
「新潟のカエルは鳴くんだよ、ゲロゲーロ! ゲロゲーロ!」と
青空球児・好児張りの大合唱が響く中
皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?

じつは私事でございますが、4月より半年ほどガクセーなんつーものをやらせていただくことになりまして、毎日朝から晩までガッコーへ『通学』しております。
そんな事情もありまして、こちらの更新もなかなか進まない状態だったのですが(言い訳です)、眠り姫の方はといいますと、ほぼ毎日帰宅後1時間から2時間ほど作業を行っていまして、前回の更新からの経過としましては

・結局エンジンを下ろしてフレーム全バラ後塗装
・リアサスペンションも分解して塗装
・ホイールも塗装、タイヤ装着
・エンジンも錆とガソリン粘性物質を落として塗装
・その他モロモロ、修理・塗装

などの状況を経て、昨日漸く『エンジンを載せて前後タイヤを取付け、転がる状態になった』という所までいきました。

まぁ、そんじょそこらのBlogでやっている内容を書くのはココの趣旨に反するので、そういう意味では「エンジン下ろしてみた(どや!)」とか「自分でブレーキ修理してみた(どや!)」みたいなのは書かなくてもいいかな? と思っている手前、なかなかネタ的には書けることが少なくなってきてますが、ソコはなんつっても30年のベテラン眠り姫なんで、まぁまぁ書けることはまだまだございますよって事で、ほならボチボチ行きます改。(w

という事で、なんだかよくわっかんねぇ始まりでしたが、今回は眠り姫のおみ脚(前足)を何とかしてみようと思う次第です。

さて、その姫の脚がどんな状態だったかというと……

インナーチューブのアッパー側(ボトムブラケット上部)・稼働部(花を活けている訳ではないのですよ、アウターからボトムブラケットの所です)共に見事な錆というか染みというか、まぁもうボロッボロだという事は写真を見てもらえばお分かりいただけると思います。
あー、ついでにアウターもボロボロですが、これはアルミが錆びているだけなのでなんとでもなりますね。(でも、フツーのバイク屋さんは交換するでしょうねぇ……)

ちなみに、通常こんなインナーチューブは一発交換です。
フツーならね……(爆

まぁとりあえずバラしましょう。

まずは取り外してアウターをブラストしました。
通常はインナーとアウターを分解分離してから行う方が効率的なんでしょうけど、ブラストしたタイミングがタンク再生のついでだったもので、フォークをバラしている余裕がなかったんですよ。なので、とりあえずインナーにマスキングをしてアウターだけブラストしちゃいました。
ちなみに、このブラストは前述の自作ブラストマシンによる砂の野吹きです。

じつは再生前に調べたらもう姫のFフォークは絶版だという事がわかりました。そして、FZR250R(3LM)のフォークが同一径だという事がわかったので、比較的錆の少なさそうな個体をオークションで購入したのですが、フォーク長が違うことが判明!(事前にちゃんと調べろよ<ジブン)
まぁね、この位だったらトップブリッジから突き出しておけば同一長にできるんだけど、なんかカッコワルイじゃん?
という事で、今回コイツを使うのは止めました。
「さてじゃぁ、どーすんべぇ?」とネットをサーフしていると……

『フロントフォークの点錆をエポキシ接着剤で補修する!』

的なページを発見!
なになに、点錆の補修を二液性の接着剤で埋めて……ふむふむ、なるほど、写真を見る限り点錆位ならしばらく使えそうにはなっているなぁ……でも、姫の脚は点錆っていうより『最近はやりの異世界ものラノベに出てくる百戦錬磨の女騎士のふさがらない傷痕』みたいなもんだから、こんなのにいくらエポキシで補修しても『舞踏会に出るために無理やりガーターストッキングをはいてみたものの、足首から上ですぐにデンセンしちまう』状態になるのは周知の事実……。

でも、

「おいら、そういう姫様嫌いじゃないぜ!」

そう、これがAMi流なのですわ。(笑)

という事で

色々バラして

インナーチューブを取り出しました。
(今回一緒にバラした3LMのパーツはストック用です。今回は使いません)

そしてまずは、姫のインナーの表面に浮いた錆を丁寧に落としました。

なんということでしょう! 稼働部全般にこんな感じです。
思わず眩暈がしてきます。世が世なら市中引き回しの上打ち首位の罪深さです。そう、錆の深さは罪の深さ……あぁ、なんて罪深いんだ……(謎)

えっと現実に戻ると、錆が深く、表層の錆を取ると結構いい感じにエグれてます。
商売でやるなら絶対こんなフォークは使いません。

ちなみに、絶版車のフォークを再生する場合、お金を掛ければこんなフォークでも再生は可能です。
やり方としては、まず表面のクロムメッキを剥離します。そしてこのように錆びた部分を適度にえぐって、そこに溶接で肉盛りしちゃいます。その後全体をクロムメッキ厚分を差し引いた径で研ぎ出しメッキ処理をすれば、ほぼ新品同様のフォークとなって再使用可能です。

でも、この方法って色々とお金がかかります。
なぜかというと、メッキ剥離、溶接、研ぎ出し、再メッキ共になかなか手間がかかりますし、同じところでやってもらえるとも限りません。

では、個人でこれを簡易的に行うことができればいいんじゃねぇの? という所が今回の主な趣旨であります。このえぐれた部分をケミカル(接着剤)で肉盛りして、他のクロムメッキ層と同一の高さにして(研ぎ出して)再使用できないかな? という事です。

さて、ジブンがネットで見た限り、ケミカルでこの手法を試しているのは決して多くはありませんが、少ないという印象もありませんでした。但し、ほぼすべてのサイトでの実例が『点錆を何とかしたい、このまま使いたい』というものでした。
そして、ほぼすべてのサイトで『この後の耐久性については後日』というようなところで終わっています。つまり、今回のような『大きな錆の補修に関してはほぼ実例がない』&『どのくらいこの手法が有効なのか(経年的にも)確証がない』というものです。

「いいじゃぁないか!」(爆)

まったく、天邪鬼です。(笑)

で、早速作業なんですが、まずはネットで拾った先人の知恵を利用させていただきます。
それは肉盛りのケミカル部材です。
ジブンは最初、某社のアルミ粉を含んだエポキシで肉盛りをしようと思っていました。これは今まで色々な所で使用してきて個人的にはとても信頼感があったものですが、今までの経験から今回の用途には少しばかり粘度が高すぎるかな? と危惧していました。そしてネットを回っているうちに幾つかのサイトで今回使用した二液性の接着剤の情報を得ました。

それがこのセメダイン社のメタルロックです。
『ネジ・リベット・溶接に代わる構造物接着に』と書かれています。二液アクリル系接着剤で、密着(接着)度が高く、完全硬化後に切削や研磨が可能らしいです。振動や温度による膨張・収縮率、耐油性に関しては情報が少なく不安ですが、まずは先人たちが使っているこのメタルロックを試してみることにしました。

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使用方法は至って簡単で、A液とB液を等量出して混合します。こういう混合型接着剤によくある接着不良のほとんどが『混ぜ不足』によるものですから、良く混ぜ込みます。また、混合後5分ほどで粘度が高くなりますので、一度に多く作らないで少しづつ作って施工します。
(※エポキシ系などで良くあるのですが、混合後の化学反応で発熱します。いっぱい作ってしまうと自己発熱によって化学反応が促進され一気に硬化してしまいます。また、エポキシの場合反応熱が大きいので、あまり大量にやると煙が出ることもありますのでご注意をば)

ジブンは少しづつ作って爪楊枝で盛っていきました。もちろんフォークの錆はきちんと落としてブレーキクリーナー等で脱脂済みです。ちなみに盛ったのはフォークの可動範囲内だけです。

左右二本のフロントフォークのこの辺が可動部となります。裏側も同じような感じですので、正直なところかなり多いですね。いや、ほんと、実験要素がなかったら交換した方がいいのは言う迄もありません。

メタルロックの使用法によると5分で固定でき、1時間で実用強度になるとの事ですが、今回は一昼夜置きました。というのも、ケミカルなどでは『ヒケ』という現象が起こる事が多く、これは物質が安定するにあたり収縮が起こる現象をいいます。つまり、「あぁ固まったな」と思って平面を出しても、数時間後にヒケにより凹む事があるのです。まぁ、この現象は今回のような2液型(相互反応型)より揮発型に多いので大丈夫かもしれませんが『念のため』です。

硬化したらケミカルの出っ張った部分を研いで平らにします。ここで注意したいのはサンドペーパー等だと当て木をしても凸凹になってしまうという事です。詳しい説明はしませんが(だいたい想像できるでしょう? 予想以上にシビアですよ)円柱に沿って周囲の部分と同じレベルで平らにするには、周囲との段差ができない硬いものを使って研ぐ必要があります。今回ジブンは上の中目と細目を使って研ぎました。

わかりますかね? 上が研いだ後、下が研ぐ前です。
研磨はオイルストンならそんなに苦にならない程度です。でも、これは裏を返すと稼働部への使用の耐性に疑問が残るという事でもあります。
研磨にはエンジンオイルを使っていましたが、粘度が高すぎたのでCRC5-56を吹き付けて研ぐ所におちつきました。

これが研磨したフォークです。一見「なんじゃこりゃ! オイルシール一発崩壊やんけ!」と思えますが、ツメは全く引っかかりません。まぁもちろん目を瞑って触っても全く分からないとは言いませんが、点錆なんかに比べたら遥かにシールにやさしいという感じは実感できました。

大きな穴などで盛りが大きい場合、研ぎ出した部分に気泡による穴が発生することがあります。そういう場合は脱脂後その部分をチョイと削って再度盛りなおし、研磨します。地道ですがその繰り返しです。

さて、ここで私の失敗談を紹介します。
どうしてもオイルストーンの細目では取れなかった傷を取ろうと最後に800番のペーパーを掛けました。もちろん、フォークを固定して、ペーパーはピンと伸ばしてフォークに対して横方向にのみかけたんですが……

これは失敗でした。
上記の写真では傷も少なくいい感じに見えますが、触ってみると感じるんです。ケミカル部分が微妙に凹んでいる感じです。10ミクロンくらいでしょうか? ハンダメッキと同じくらいの変化が感じられます。やはり今回は、ペーパーはご法度のようです。若干表面が荒くても引っかかりが少ない方を選択しようと思います。
(このあとある程度ペーパー等で削ってやり直しました……)

ちなみに稼働部より上(アンダーブラケットとトップブリッジの間)は錆を取って錆転換剤で処理をしてこのままいこうと思っています。

見た目では平らだとは決して思えないフロントフォーク
でも、結構平らです。(笑)
あとは通常通り組み込むだけです。

そうそう、今回シール類はネットで探した安いものを使っています。ホンダのVT系用ってなっていますが、サイズは同じなので大丈夫だと思えます。なにより価格が安いので(オイルシールとダストシール左右セットでこの値段!)今回駄目でも懐が痛みません!

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オイルシールをインストールしている所です。インストーラーなんて持っていませんので左の塩ビ管で行います。(手持ちの塩ビ管の径がちょっと大きかったので、下側表面を少し削りました)
フォークのアウターは既に塗装してあるので、万が一のためにエアパッキンで保護してあります。手前の2x4材は下敷き用。レンガはパイプ叩き込み用です。(笑)
まぁ、可能なら専用工具のご用意を……。

最後に規定量のフォークオイルを入れて暫く放置し、トップのキャップを閉めて終了です。フォークオイルは手持ちのKawasakiの10番を使いました。

これがフォークを取り付けた所です。
ホント、絵面的には穴だらけのキル・シール・フォークですね。(笑)

ちなみに、この作業を始めてから姫用のサードパーティー製リプレイス・フロントフォークがある事を知りました。左右で13,000円位なので、新品の半額位ですかね? これで駄目なら迷わず調達予定です。最初から知っていたら……でも、買ってなかったかな?(笑)

さてさて、今回のフォーク再生ですが、あくまで個人的な実験という要素が一番大きいです。「最近の便利なケミカル類って、どこまで使えるんだろう?」という疑問や「もし、今後自分が持ってる旧車の軽整備で使えたら、安価に済ませられるかな?」なんて思惑があっての事ですし、当然ながらこの接着剤自体の本来の使用方法や用途とも全く異なっています。

また、実際にまだ車両を動かしていないのであくまで可能性の問題ですが、もしかしたら一発でシールが壊れる可能性も非常に高いと思われます。勿論、1か月持つかもしれませんし3年持つかもしれません。しかし、走行中に大きな剥離があったりしたら、フォークシールは大きなダメージを受けてオイルをばらまき、場合によっては走行不能になる可能性もあります。仮にそれが高速走行時やコーナリング時、あるいはブレーキング時だったら、場合によってはバランスを失って大事故=死に至る可能性もあります。

なので、お勧めはしません。

でも、知りたいじゃないですか。
幸い自分にはこれらを分解・組み立てできるスキルと時間がありました。家にある余り物のオイルや安い部材を使っていますので、駄目になってもその位の出費で済みます。これをプロにやってもらったら、手間賃だけでとても大きな出費となりますので、たとえジブンでも気軽にはできなかったでしょう。

昔から、好奇心がジブンの生きる糧なので、まぁこの位の地雷は踏んでやんよ。って感じです。(笑)

まぁ、どうなるかは姫様が眠りから覚めてしばらく経たないと分らないでしょうから、レポートも暫しお待ちを。

まぁでも、感触として「点錆位ならイケるんじゃね?」って感じはしてます。

さて、少しづつ眠りから覚めつつある姫です。
次回はブレーキかな? もういいかな? (笑)

という事で、今回はこの辺で。

 

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