35歳引退論

システム関係の仕事に従事した人ならば一度位は耳にした事があるだろう言葉なのだが、一般の人はこの言葉を聞いたことがあるのだろうか?
そう、要はプログラミングエンジニア(ここではPGとかSEとかひっくるめちゃいますね)として現場で『使える』年齢枠が35歳までという事を謳った言葉で、業界の一般的な認識ではこの年齢になるとアタマが固くなり、日進月歩の業界ではついていけなくなるという認識を文字として具現化したようなもので、結構昔から、そして今もなお言われている言葉である。

まぁ正直なところ自分としてはこの意見に大反対で、むしろ色々な情報を蓄積し、社会という海を泳いできたという意味では、これからなんじゃないか? と思う方だったりする。

なによりも、もし仮にこの年齢でアタマが固くなって新しい事に着いていけなかったり、新しい発想ができなくなるというのなら、数学者などを始めとした大学教授や、将棋指しやプロ雀士など『発想と思考のプロ』に年配者は居なくなるはずである。
でも、実際は年寄り(失礼!)ばかりだよね。

確かに、そういう地位に着くために必要なのは発想ばかりじゃないし、発想や思考は若い時にあらかたやって、あとは自分の立ち位置を高い所に引き上げる為の手法をとると言う意味では年配者が多いということも頷ける。また、自分の研究テーマを助手(今の准教授は助手じゃない事になってるらしいが?)やその他に分担させ、マネージメントすることに重きを置くと言う意味では、年をとって純粋な発想があるとは言い難いのかもしれない。

では、勝負師はどうか? こちらはまず思考の分担はできない。 もちろん、若手の勝負師が多く育ってきているのかもしれないが、年配者だってまだまだ十分対応できるはずである。そういう意味では、35歳引退論の一つである、アタマが固くなってという説は純粋な成立が難しいということになる。

勿論この引退論も、その裏にある事情を見れば納得できないわけでも無い。
確かにアタマが固くなるという事もあるだろうけど、それ以上にこの言葉の裏には体力的な問題が関係している。

ちょっと話はズレるが『ITドカタ』っていう言葉を聞いたことはないだろうか? 近年よく耳にするようになった言葉で、意味はそのままIT業界の劣悪な就業環境を表している。今やIT業界従事者は、安い賃金で昼夜の区別もなく働かされる3Kに準じる職業としての側面を大きく見せているというのが現状だ。

前述の引退論で体力に関する所が大きいと書いたのはまさにこの部分。能力はあっても2日や3日の徹夜が出来なくなってくる(或いは生産能力が著しく低下する)この年代が一つの線引きとなっているという現状から見たなら、確かに35歳引退論は当たっているだろう。

さて、ではIT業界には35歳以上のエンジニアがいないのか? というと、そんなことは全くない。
システムの事を知った管理職的立場であるグループリーダーやマネージャーとして大いに重宝される事になる。勿論、給料もそれなりに良くなるし、総合的な方面での能力が買われれば左団扇的給与も夢ではない。

今回の就職活動に於いてジブンはこの引退論に撃破された。ある業界関係者からは「35過ぎているエンジニアに価値なんて無いのあなた自身が一番良く知ってるでしょ? それともすぐに年間で億稼げる顧客を連れてくるなら考えるけど」というような事を言われた場面もあった。すぐに億稼げる客がいるなら会社続けてるに決まってるだろ、ばーか。と思ったけど、そんな事言った所で何も始まらない。

ま、この業界に未練なんて無いから、そういう意味では特に悔しいとは思わなかった。覚悟もしていたしね。でも、問題は今でもそれが公然とまかり通っているという現状にあると思う。つまりそれは、この国のシステム産業の先行きに暗いものを感じているという事。

この国を築いてきた機械工の職人的技術が、賃金の安い海外に流出しこの国から消えようとしているように、この国を今盛り上げているアニメーション技術が同様に安い賃金の海外に流出しこの国から消えようとしているように、時代の花形だったIT技術者さえも安い使い捨てロボット同様の扱いにするこの国の未来はどうなるんだ?と。

業界に未練はないけど今後もこの国で暮らしていかなくちゃならない事を考えると、自らの足を食うタコのように、自らの首を締めながら平静を装っているだけのようなこの国の未来に危機感を覚えずにはいられない。

ま、みんなが思っているより、この業界はドロドロと、そして安泰ではないという事をせめて記しておこうかなと思った訳でした。

[ratings] 評価にて『書く気』と『やる気』のエナジーを、是非!

日記・ブログ ランキングに参加しています
 面白いor共感できたら是非ともクリック願います

カテゴリー: 雑感 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください