と言うことで不定期更新第二回目(章としてはココからなので一章)となりましたが……
あ、なにやら早速あのお方が、アノヒトを探してやってきたようですね。
~ 第一章 燃料タンク(その1) ~
マサトくん、マサトくん、マサトくんっ!
あ、カゴメ、こっち来ちゃダメ……
マサトくん、マサ……う……ゥゲロゲロゲ
(以下自主規制)
もう、待ってよ朋花さん!
あーあ、だから言ったのに。
マサトが今ヤヴァイから来ないでって……う……ゥゲロゲロゲ
(以下自主規制)
ふぇぇぇ、やっと追いつい……ゥゲロゲロゲ
(以下自主規制)
あぁぁぁ……みんな、だめだよこっち来ちゃ……。
い、一体この臭いは……
な、な、なんなのよ、このザリガニと言うか
甲殻系というかエビの腐ったみたいな……
カナちゃん、それ以上イケナイ。
エビ、タベラレナクナル。
あはは、確かにこの臭いは慣れててもキツイしなぁ。
じゃぁちょっと序章のおさらいも交えて説明するね。
まずはこのタンクのおさらい。
S211のタンクは人間の肺みたいに左右に分かれた二つのタンクで構成されているんだ。で、その二つを下側にあるパイプで結んでいるんだけど、まぁ錆びやすい構造なんで最初からそれなりの覚悟はしていたんだよ。
上の写真は取り付けられた状態。
右上に有る給油口のキャップを空けると、タンクの中から独特の異臭とともにチャプチャプと動く『ナニか』が見えた。これはつまり、混合ガソリン『だったもの』だね。この異臭から、この物質の正体を過去形にするのが適正だとは容易に判断できたよ。
さて、この写真を見て気づく人は気づいていると思うんだけど……まさかあそこまでとはねぇ。
タンクを外すにあたって給油口直下のコックを外す事にしたんだ。このバイクの設計疑問点はこれ。タンクが2分割されているのに給油口とコックが直線で結ばれていること。何がいいたいか、わかるかなぁ?
うーん。
コックが左側タンクの下にあれば、右から給油したガソリンが強制的に下のパイプを通って左側のタンクに流れ込み、少なくとも左右のガソリンの対流が起るんじゃないか? って事ですか?
さすが! そうなんだ。
ガソリン給油時のオイル混合でも、その方が効率がいいんじゃないかなって思うんだけど、どぉなんだろうね。
右利きが多いから、コックを右にしたって事は無いの?
うん、それも考えられるけど、今のバイクのコックは左が多いよね。
私のハスクも左ですから、ガス欠になったら走りながらでもアクセルに手をかけたまま、コックをリザーブにできますね。
でもぉ、わたしのVespaだとぉ、ガス欠になったらぁ、だいたい止まってからぁ、切り替えるから……左でもいいのかなぁ?
まぁ真意はわからないんだけどね。
ジブンは左の方が良かったんじゃないかなぁ? と思っているってだけだけさ。
うぼっ……
こ、これは?
ガソリンの成れの果て。
色はまるで熟成されたたまり醤油みたいで、臭いは……
マサトクン、ソレイジョウイッタラ、アームロックデス。
まぁ、なんとか外れたんだけど、外したタンクからチャプチャプと音がしていたんだ。ガソリンコックを外して右肺からはガスを抜いてあるから、考えられるのは左肺。つまり、この時点で下のパイプが錆で詰まってるってことが推測できたんだよね。
あ、ちなみにココから下は食事中の方や潔癖症の方、心臓の弱い方等々は見ないほうがイイと思います。
忠告しましたからね……。
と、まぁこんな感じだったんだけど……みんな、大丈夫。
……。
……。
……。
あ、ハングアップしてる。
まぁ、無理も無いよね、流石にジブンも今回はちょっと退いちゃったしなぁ。
おくすり、どうぞ……。
あ、君は黄色いカチューシャの文芸部員さんだね。
どうしたの?
ふ、ふふふ……
私がもらってたオクスリ、持って来ました。
一粒でどんなに辛い事も苦しい事も悲しい事も全部忘れて
HAPPYになれるオクスリ……くすっ……
それだけは、イヤぁぁぁぁぁぁ!
って、アレ?
今のでみんな正気に戻った?
そうそう、黄色いカチューシャの彼女が気になる方は、是非この↓小説を!
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さて、では、気を取り直して、マサトくんお願いします!
あははは……まぁココから先も暫くキツイけど、頑張ってね。
では、続きを。
じつは右肺のコック穴から混合油を抜いたタンクなんだけど、相変わらず左肺からはチャプチャプ音がしたままだったんだ。
恐らく下の通路が錆で埋まっちゃってるだろう事が推測できたから、揺すって液体の衝撃でなんとか下の通路が開かないかな? なんて思ったんだけど、そうこうしているうちに……。
握ってた右タンク裏がボコッと。
わぁ! おみごと!
まさかと思って反対側もちょいっと押してみたら
え、朋花さんの怪力じゃないのに?
さてと、武器はどこでしたっけ?
はい、レナちゃんが忘れていった鉈でよければどうぞ!
ち、ちょっと朋花さん、冗談だからっ!
つか、エリカもなんでソンなもん渡すのよ!
それじゃまるっきり、キチ○イに刃物じゃ……
なんか今、面白い事をおっしゃったようですが
よく聞こえなかったんですけど……
わぁ、こりゃカナちゃん抹殺されるねぇ。
あ、あのさ、みんな正気に戻ったのはいいんだけど、ちょっと落ち着こうよ……。
あら、私はいつでも落ち着いてますわよ。
おほほ、おほ、あは、あはは、
あはははははははははははははははは。
わ、わ、わかったから、朋花さん、笑いながら鉈を振り回さないでっ!
っていうか、マサト、さっさと話進めなさいよっ!!
まぁ、穴が開いたものは仕方ないし、ついでだから両方の肺を切開したんだけど……
な、なかなかぁ、すごいねぇ……
このぉ、土みたいなのはぁ、全部サビなんだよねぇ?
ねぇ、そもそもこのサビって何処から出てくるわけ?
もちろん、タンクの内側だよ。
というか、これはタンクの鉄板の内側表面が錆びて朽ちたものの堆積物だね。
でもさ、タンクの中って古いとはいっても油が入っているじゃない?
油分があれば錆びないんじゃない?
そこで最初の写真なんだ。
右タンクから茶色の筋が下に向かっていたでしょ?
要はあれが、タンクの喫水線だったんだと思うんだよ。
えっとぉ、よくわんにゃい……
錆……つまり鉄の酸化は、イオン化した鉄が電解質に溶ける(概念)現象だね。
このタンクの場合はタンクの鉄が水や酸素に溶けるたと考えるとわかり易い。
で、油が入っていると鉄と酸素の間に被膜(油膜)ができるから錆びにくい。
(直感的に考えていい)
あ、錆に関しては完全に科学反応の分野で、長くなるからこれ以上は止めておくけど、恐らく放置されたときにはあの茶色のライン近辺まで混合油が入って居たんだとおもう。
なるほど、つまりそれ以上上の部分は油が無いから、空気中の酸素に反応した鉄が酸化して錆び、それが剥がれていったわけですね。
うん、そうそう、たぶんそんな感じだと思う。
で、そのうちタンク自体が薄くなってとうとう穴が開いて……
ああ、それでぇ開いた穴からぁ油が漏れて筋になってたんだねぇ。
うん、納得だねぇ。
そして恐らくはその穴から新しい湿気を帯びた空気が入ったり、混合油自体がこの穴から揮発して喫水線が徐々に下がって酸化域がどんどん低くなって(拡大して)いったと言うことでしょうか?
まぁ、そんなところなんだろうね。
サビって化学反応だから条件によって色々な出方が有るし奥が深いからね。ここでは結果とそれに対する対応に重点を置くとしよう。
しかし、見事な錆の量ですね。
ねぇねぇ、でもこれってさ、このタンクの金属が薄くなったってことだよね?
そぉだよねぇ。ダイジョブなのかなぁ?
まぁ、それは……これから見てもらおうかな? と。
あ、なんかぁ、ちょっとだけぇ綺麗になってる?
いや、これはかなり頑張ったんじゃないですか?
この感じは、ブラスト?
お、よくわかったね。
時間短縮も兼ねてサンドブラストをかけたんだけど、もちろんワイヤブラシとサンドペーパーでもここまでやる事は十分可能だよ。
あ、匂いも少なくなってますね。
これなら全然平気ですね。
まぁ、まだ完全に無臭という訳じゃないし、しかもここまで切開したからこれからが大変だし、それに……
それに?
わぁ、なんかぁ、タンクに……
た、タンクに天の川が……
あらら……
ははは……まぁ仕方ないさ。
どっちにしろタンクの鉄板は、ほとんど剃刀の刃のように薄くなっているし、切開範囲も大きいからどうするのが一番いいかなって考えている所なんだけどね。
ただ、漸くだけどあのクセモノのタンクを弄るスタートラインに着いたことは確かだね。
ここからは(タンクに関しては)錆取りじゃなくて作っていく方がメインになるから、そういう意味ではワクワクするね。
さて、今回はココまでです。
これからこのタンクはどうなるのでしょう?
ちなみに、ちょっとだけ裏の話をしますと、この後冬に向け作業スペース確保(とにかくガラクタだらけ)を行っていたマサト君(中の人)ですが、ようやくなんとか作業スペース確保の目処がついて、次の作業に取り掛かれそうだとの事です。
さて、それでは私も皆と一緒に錆取りに参加しますかね。
では、また!
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