塩漬け不良債権から優良カブ主への道 #1(HONDA Super Cub C65)

前回少しばかり触れた案件、覚えてますかね?

なんかこの絵面、改めてヤヴァイ奴に手を出してしまった感がハンパ無い今日この頃ですが、みなさんオビョーキですか?
(「ソーマさーん、お脳の辺りイタくないですかぁ?」のノリです)

はい、という事で始まりました「優良カブ主への道」です。
今回はバイク弄りの王道 『HONDA Super Cub』をイテコマシタロか! と思っている訳なんですが……今一度ここでオサライしておきますね。

まずは、これから弄る予定のC65のノーマル状態の映像を探したんですけど、なにせ手持ちの車両は既に数年前から林檎バラバラ殺人事件状態ですし、HONDAのページにもイマイチいい写真が見当たらなかったので、こちらのHONDAオフィシャルサイトページ 【 Super Cub Story Vol.4 — 国内製品編 】 からお借りしたのC90の画像を参考にして頂ければと思っています。なぁに、外観なんてほとんど一緒ですよ(笑)。

で、まず外観の特徴は、なんといっても通称【カモメカブ】と言われるカモメが羽を広げたようなハンドルのラインとそれに伴うライトの位置ですね。あとは小さなウインカーやテールランプ、タンクなんかかな? Cubってみんな同じように見えるけど、じつは年代で結構デザインが違ったりします。まぁでも、この初期デザインが素晴らしかったからこそ、世界中でYAMNAHAのメイトもSUZUKIのバーディーもこの形に近ければ『Cub!』と言われるほどトータルで個性的で、世界に認められたデザインって事は間違いないと思うのです。

さて、このC65なんですが、製造は1964年くらいかららしいです。手元のC65がいつの製造なのかはわからないのですが少なくとも同世代っぽいなと。言ってみれば同じポンコツ仲間の老老介護みたいなもんですな。(笑)

また、前回のブログにも書きましたが、この車両は仲間のバイク屋で見つけた時点で長期放置車両でして、しかも水没車っぽい感じ(エンジンがNG)でした。その後我が家に来て5年ほどそのまま屋外で雨ざらしで放置され、ちょっと気が向いたのでエンジンのみ外してとりあえずクランクするところまで直してエンジンのみオークションで売り、その後フレームの状態まで全バラにしたところでやる気がなくなり、更に5年ほど軒下で雨ざらしになっていた所を今回また気まぐれで持ち出したというモノが一番最初の写真の状態なわけです。

このような経緯の車両なので欠品も多く、今更『オリジナル重視で完全レストア』なんて方向には持っていく気はありません。まぁね、上のC90を見ると「あぁ、綺麗だなぁ。これこそSuperCubだよなぁ、いいなぁ。」なんて思う事も多々ありますが、そういうのは心血とお金を注げる余所様にお任せするとして、なんといっても此処はAMi-WORKSなので、あくまでAMi流に手間とお金を削っての再生としたいと思います。

んでさ、そうは言ったものの、一枚目と二枚目の写真のギャップが凄いよね。
いや、我ながら凄いと思うもん。
う~ん、まずは何からしようか? とりあえず、フレームの現状でも確認してみましょうか?

リアフェンダー部内側から。いい感じに、錆びてます。

リアフェンダー部のアップ。先端の合わせ補強部分に錆が多いのは水が溜まる所以か?

フレームセンターピボット部。Cubのエンジンは今でも2本の長いボルトのみでフレームと接合されているらしい。勿論、錆びてます。

フロントステム下。サスペンションはテレスコピックじゃなくてボトムリンク式(ラビットと同じ)なので、筒状のフロントフォークでは無くてプレス鋼板。しっかり、錆びてます。

フレームを逆さにしてセンタースタンド付近を撮影したもの。万遍なく、錆びてます。

リアブレーキレバーリンク周辺。うん、もうね、オナカイッパイだよ……。

いやぁ、いい感じですな。(涙)
まぁでも10年以上雨ざらしにされていた割には綺麗かもしれないですね。しかも去年なんかは大雪で数か月雪に埋もってたりして。そんなサイクルを繰り返した割にはダメージが少ない気もします。
では、試しにリアフェンダー部分の内側をケレンしてみましょう。
ワイヤブラシでガシガシ錆を落とします。
ガシガシガシガシガシガシ
ガシガシガシガシガシガシガシガシ
ガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシ……あ

穴が……
うん、まぁウチ的には良くある事ですが……。(笑)
ざっとブラシをかけてわかったことは、放置年数の割には悪くない状態(良い錆)のようだという事。但し、写真のように部分的にはかなり朽ちている所もあります。恐らく長年の使用の中で接触や転倒など、必要以上にストレスのかかった金属部分や水のたまりやすい部分などは結構錆が進行しているようです。これらを考慮の上まずは錆に対する方向性を決めました。

さて、錆を取るのは悪くない事ですが、錆を取る工程でどうしても地金もある程度痛めてしまします。このフェンダーとフレームを見ていただけると分ると思いますが、Cubのフレームはモノコック形式というもので、フレームと外装が一体となっています。フレーム部分がエンジンを支えているのは勿論の事、リアフェンダー部に関してもリアサスペンションの受けや、後ろの荷台や二名乗車時等の重量を支えるモノコック形式のフレームも兼ねていますので必要以上に強度を落とすような作業はしたくありません。かといって、錆を取らずにこのまま使うのはいろいろ問題があります。
まず第一に、錆は錆を呼びます。錆が水分を蓄えて錆びていない鉄部分も酸化(錆)させるからです。また、本来の鉄の特性とはあいまって、錆には強度がありませんので錆をそのまま放置=強度を保っているとは言えません。今回はある程度錆を取りつつも地金を痛めるような深い錆取りは極力避けて元々持つ強度パフォーマンスをなるべく活用しようという方向にしました。
というのも、フレームが入っている車両ならフレーム強度が落ちるようならフレームに補強をすることで対策できますが、元々モノコック方式のフェンダーなので、コイツの強度を新車以上にしようとすると新たにフェンダーを板金するという事になります。
これは、現実的ではありません。
なので、ある程度錆を取ったら……

錆転換剤で錆の進行を阻止して(完全な防錆にはならないでしょうが)これ以上強度パフォーマンスが低下するのを防ぐという方向で進める事としました。

ここで、錆転換剤って何ぞや? と思われる方も多いと思うので、少し講釈を。
錆とは化学反応です。これを化学として説明すると別のカテゴリに成っちゃうのでやめますが、要は鉄(金属など)が酸化還元反応により鉄表面が電子を失ってイオン化し、鉄表面から脱落して行くことで進行する電気化学的な反応とWikiにも載っている通り、鉄が鉄以外のモノになってポロポロ剥げてしまう現象です。要は酸化がキーになるので、単純に考えると阻止するための方法の一つとして鉄に酸素を触れさせなければ良いという事がわかります。酸素をふれさせない方法としては色々あります。塗装もその一つです。油を塗るってのも良いでしょう。とにかく鉄の周りに膜を作ってガードしてしまえばいいのです。

ところで、南部鉄瓶ってご存知でしょうか? 古くから東北地方で使われている黒い鉄の薬缶です。あれは鉄の無垢材ですが、錆びないんです。

何故か?
坊やだからさ……。

ンなわけねぇ。(笑)
答えは四酸化三鉄という黒錆の膜に覆われているからなんです。詳しいことは省きますが、昔はこの鉄瓶製作に柿渋を塗ったりして黒く錆びさせる事でそれ以上の錆(赤くなる錆)を阻止したらしいです。この黒錆である四酸化三鉄ってのは錆のくせにとても安定していて、しかも強固なので黒錆の下にある無垢な鉄を酸素(酸化の原因)や水(触媒)などから守って錆びないようにしているんですね。ちなみに、アルミニウムもじつはアレ、錆びているんですよ。無垢のアルミニウムの表面はすぐに酸化して酸化アルミニウムというとても安定した物質になる事でそれ以上の錆を抑えているという事です。

あ、話が逸れましたが、錆転換剤ってのは、要は、脆い赤さびを安定した黒錆状に変換することにより、それ以上の錆の進行を抑える役目を果たします。ウチで使っているものはLOCTITEの錆転換剤ですが、色々な会社から用途(主に容量)に併せて色々出ていますので使ってみるのも良いでしょう。

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あらかた錆を取った後、錆転換剤を塗布し、乾燥させた後の画像です。
錆転換剤自体は錆を取る訳ではなく、また、パテなどでもないので色以外の状態は大きく変わりません。ですが、赤さびの残っていた部分が黒くなっている事がわかるでしょう。南部鉄瓶の伝統的な錆転換方法とは異なり、市販の錆転換剤には転換成分の他に酸素のシャットアウトと水分除去のための塗料成分が入っています。なので、地金の塗料が乗っていて錆転換されていない部分(黒くない部分)などにも、少しは水分や酸素の侵入を防ぐために貢献しているのではないかと思われます。なにより、錆びたままの状態よりは断然錆の進行は遅くなります。

フレームのアンダー部分まで、裏側には同様の処理を行いました。

また、フェンダーの穴はパテで埋め、同様に合わせ部分の水の入りやすいところもパテ盛りしました。

最後に上塗りを行います。錆転換剤塗布後は必ず上塗りをするように書かれていることが多いです。ウチで使用しているLOCKTITEも同様の指示でしたので上塗りをしました。

ちなみに今回、モノコックのバッテリー収納部には昔から使っていた一液エポキシ系の錆止め塗料(アサヒアレスコ、グレー)の残りを塗ったのですが、インナー部分を塗ったあたりで丁度無くなったのでホムセンに行ったところ新しい錆止塗料があったのでそれを試してみました。今回使ったのはエポキシ系ではなく、カンペハピオのシリコン系の上塗り兼用塗料でした。結構色々な色があったのですが今回は黒を選択。異様に粘度が高く、塗料というよりはシャシブラ(シャシーブラックというアンダーコート塗料)に近い感じがします。耐久試験はまだこれからですが、個人的に塗った感じでは「これ、イイかも」という感想ですね。なにより塗膜の厚さが気に入りました。

さて、とりあえずはこんな感じで一つ一つ錆との格闘が始まりました。
焦らず騒がずクイックに(笑)
次回はどこまで進んでいるのやら……。

 




ところで、他の部品は揃っているんだろうか???????(爆)

 

 

 

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