HIRANO VALMOBILE レストア計画 第二章

以下は2007年5月頃に公開したPrivateSoulBox内の記事を移植したものです。

 

第二章 各部検証と分解、でもその前に。

と言う訳で早速分解に取り掛かろうと思った訳ですが、折角レストアが完了してもナンバーが取れなくて公道を走れないのでは なんとも面白くありません。そこで分解の前に、とりあえず登録してみる事にしました。

じつはこの車両は販売証明が出せるとい う事で購入したのですが、出品者が引越しのため書類の発送が遅れるとの事。いつまで待ってても仕方ないのでフレームナンバー の石摺りを持って市役所の分所に行きました。
古いバイクですし、現在ではそのメーカーも無いので登録は難しいかなと思い、一 応自分で色々な資料を用意していざ市役所出張所へ。最初対応に出た窓口のオバチャンでは埒があかず「・・・少々お待ちください」と 言われて待つこと数分、どうやら上の方が直接対応してくれるようです。

新たに現れた男性職員にこのバイクの経緯やメーカーの 経緯を話し、フレームナンバーで登録したい旨を話したところ、「前例が無いので・・・ちょっとお持ちください・・・」と何や ら本所へ電話をかけている様子。『こりゃ一筋縄では行かないかな?』と思っていたところ、「え~、大丈夫ですね、登録できま すよ。」との返事、その後もこちらの予想とは裏腹に「こんなバイクがあったんですねぇ、すみませんねぇこういうバイク、初め てなんで」となかなか親身になって対応していただき無事にナンバーが交付されました。

そうそう、登録の際にちょっと悩んだの が車名の欄、通常ここにはホンダとかヤマハとか社名を書くのですが、製造元の平野製作所は既に存在しません。「どうしましょ うかねぇ?」と言うと、また本所に問い合わせて(笑)出た答えが「バル・モビルと書いてください」という事でした。
ちなみに、登録した翌日出品者より「遅くなって申し訳ありません」と一筆添えられた販売証明が届きました。(^^;;

さて、ナンバーも交付された事ですので、各部の検証を行いながらバラしてみましょう。


無事取得できたナンバー、車名はバル・モビル。


機関部全景です。必要最小限のものがコンパクトに纏まっているでしょ?
こういう仕事をみるとワクワクしません?(普通はしないか)


ライト裏側です。
ライト本体にトグルスイッチが付いてます。(^^)
ハンドル部の錆が酷いですね、ライトの右下に見えるのはホーンで、ハンドル右に見えるボタンがホーンボタン(スイッチ)です。


ステムとステアリングの取り付け部。
この出っ張りの先端ノブを引くとハンドルが抜けて、収納時に分解できる仕組みです。
この部分、後に地獄を見る事になります。(笑)


フロントタイヤです。
前輪にはブレーキがありません。
カタログでは50km/hくらい出ると書いてありますが・・・後輪のドラムブレーキだけでは、本当に50km/hも出ると怖いですよね。


エンジンの真上から前方方向の図。プラグコードにプラグキャップがありません。
ホット側の黒いキャップはプラグ先端にコードを止めるネジになっています。
何年もバイクに乗っていて、プラグ碍子部先端のネジにこういう用途があったと初めて知りました。(笑)

フレーム真ん中の丸いポッチは、これを引くとストッパーが外れて、フロントスイング(しない)アーム部分を外すためのも のです。
左の錆びた円筒形のものはイグニッションスイッチです。
単純な仕組みなので鍵が無くても動くでしょうが、なんとかしたい部分ですね。


キャブレターはAMAL(こういう古いものはカーブレイターと書いた 方がツウっぽいか?)、英国ライセンスだからなのかな?やっぱりクセがあるんでしょうか?。
その手前にあるアームのようなものは、どうも収納時にハンドル 部を保持するためのホルダーのようですが、まだ収納した事が無いので未確認です。


写真のキャブ右下に見える穴というか突起は何のためにあるんでしょうか?
最初から何もついていなかったんだけど、ここに何か付くのかなぁ?
それともただのブリザー? 誰か知りませんか?
(後に上妻氏よりメイルにて教えていただきました。ありがとうございました!)


手前の?はチョーク。
これを引くとインテークマニホールドに遮蔽板が降りてきて空気の流入量を減らし、結果的にガスを濃くする(チョークする)事となります。
全体的に油が滲んでいるお陰で、機関の錆は少ないようです。


キャブとエアクリーナーボックス。
エアクリは前面のフタを外した状態です。
乾式のエレメントが付きます。


燃料コック。燃料コックはグラグラで使えないようです。
コックのパッ キンが何かのゴムを加工したもののように見えるのですが、もしかしたら元々は旧車にあると聞くコルクパッキンだったのでしょうか?交換するとしたら何が合 うのかな?形状的にはKAWASAKIのWなんかのシリーズのものが使えそうなんですが、手軽なのはモンキー用かなぁ・・・。


エンジン前方より。実にシンプルで小さなエンジンです。
EXマニの辺りにオイルの滲みがありますが、シリンダーやヘッド部には滲みが無いので問題ないでしょう。


マフラーです。
取り外して分解できる構造になっています。
こちらも詰まりなど無いようなので問題は無いでしょう。


キックスターター。
付着したオイルのお陰で錆びてはいませんでした。
このキックでエンジンをかけ


のVベルトを駆動し


のチェーンをドライブして後輪を駆動します。
結構凝ったつくりですよね。


当初バッテリーだと思っていたのですが・・・正解は後ほど。


テールランプも格納式で、収納時には図のように内側に折りたたんでおきます。


ブレーキランプのスイッチです。
ブレーキはリアのみです。
ステアリング右のブレーキレバーを引くと、ワイヤーでリアのドラムリーディング式ブレーキを動かす仕組みです。このあたりは現在のバイクと遜色ありません。


サイドパネルの取り付けボルトです。
メッキがはがれて錆びていますが、このあたりは市販の袋ナットで代用できそうです。


これは何かわかりますが?リアサスペンションです。
なんとVベルトのようなゴムです。
当然ダンパー機能はありませんが、確かにこれで十分っちゃ十分なんですよね。


可愛いセンタースタンド。
後ろにリアタイヤが見えていますが収納時もリアタイヤは格納されないので、このセンタースタンドをかけて置いておきます。

とりあえず、今日のところはここまで。

基本的にメッキ部の錆以外はそんなに悪くないと思われます。一応プラグホールからオイルを垂らして クランキングしてみましたが、リングの固着等も無いようですし案外簡単にエンジンはかかるかも知れません。まぁまだ先の話ですけどね。

40年も昔のバイクですけど、メカの構造は現在のバイクと共通点が多く、パーツの流用なども楽かもしれません。次回はもう少し細部をバラし た所をお見せできると思います。

 

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